子どもの下痢が続く場合の対処法と受診の目安

子どもの下痢が続く場合の対処法と受診の目安

1. 下痢が続く子どもへの基本的なケア

お子さんの下痢が続くと、保護者としてとても心配になりますよね。まずは家庭でできる基本的なケアを知っておきましょう。

水分補給のポイント

下痢が続くと体から水分や電解質が失われやすいため、こまめな水分補給が大切です。特に小さなお子さんの場合、脱水症状に注意しましょう。

おすすめの飲み物

年齢 おすすめの飲み物
乳児 母乳またはミルク(医師の指示があれば経口補水液)
幼児・学童 経口補水液(OS-1など)、薄めたスポーツドリンク、お茶や水(砂糖やカフェインは控えめに)
注意点
  • 一度にたくさん飲ませず、少量ずつ何度も与えましょう。
  • 牛乳やジュースは胃腸に負担をかける場合があるため、避けるか控えめにしましょう。
  • 嘔吐がある場合も、少しずつ与えて様子を見てください。

食事の工夫

無理に食べさせる必要はありませんが、食欲がある場合は消化に良いものを選びましょう。

おすすめの食品 避けたい食品
おかゆ、うどん、バナナ、りんごのすりおろし、じゃがいも、人参スープなど 脂っこい料理、生野菜、柑橘系果物、冷たい飲み物、お菓子類
ポイント
  • 食事は少量ずつ複数回に分けて与えましょう。
  • 消化しやすい温かいメニューがおすすめです。
  • 無理に完食させなくても大丈夫です。

家庭で観察したいポイント

  • 排便の回数や状態(水っぽさ・血便など)を記録しておきましょう。
  • 元気や機嫌、水分摂取量、尿の回数にも注目しましょう。
  • 高熱や強い腹痛、ぐったりしている様子があれば早めに医療機関を受診しましょう。

このような基本的なケアをしながら、お子さんの体調変化には十分気をつけて見守ってあげてください。

2. 注意すべき症状と観察のポイント

子どもの下痢が続く場合、受診が必要かどうか判断するためには、親御さんが毎日の様子をしっかり観察することが大切です。特に気をつけてほしいサインや状態について、わかりやすくご紹介します。

下痢以外に注意したい主な症状

症状 観察ポイント
発熱 38度以上の高熱が続く場合は注意
嘔吐 何度も繰り返す、飲み物も受け付けない時は危険
ぐったりしている 元気がなく、呼びかけても反応が鈍い時は要注意
水分摂取量の減少 水分をあまり取れない、または飲みたがらない様子がある場合
尿の回数や量の減少 おむつがいつもより乾いている、おしっこの色が濃い場合は脱水の可能性あり
血便・黒色便 便に血が混じっていたり、真っ黒な便の場合はすぐに受診を検討しましょう
強い腹痛や腹部膨満感 お腹を痛がって泣き止まない、お腹がパンパンに張っている場合は受診をおすすめします

家庭でチェックする際のポイント

  • 食欲や機嫌:いつも通り食べたり遊んだりできているかどうか確認しましょう。
  • 体重:急激な体重減少が見られる場合は脱水のリスクがあります。
  • 皮膚や口の乾燥:唇や舌がカラカラになっていないか、皮膚につやがあるか観察します。
  • おむつ替えの頻度:普段より明らかにおしっこやうんちの回数が減っていないかチェックしましょう。
  • 泣き方:いつもと違う弱々しい泣き方や、逆に全く泣かない場合も注意しましょう。

こんな時は早めに受診しましょう

  • 上記の表にある症状が複数当てはまる時
  • 水分補給しても嘔吐してしまう場合や全く飲めない時
  • 24時間以上尿(おしっこ)が出ていない時
  • 生後3ヶ月未満のお子さんで下痢と発熱が同時に見られる時(日本小児科学会でも早期受診を推奨しています)
  • 不安なことや心配な点がある場合は、無理せず小児科など医療機関へ相談してください。

受診のタイミングと医療機関の選び方

3. 受診のタイミングと医療機関の選び方

子どもの下痢が続く場合、どのタイミングで医療機関を受診すべきか悩む保護者も多いでしょう。ここでは、日本の医療体制に基づき、小児科や夜間・休日診療所など、適切な医療機関の選び方をご紹介します。

受診が必要なサインとは?

症状 受診の目安
発熱(38度以上) 早めに小児科を受診しましょう。
ぐったりしている/元気がない すぐに受診が必要です。
水分が取れない/嘔吐を繰り返す 脱水症状に注意し、早めに相談しましょう。
血便が出ている 早急に小児科または救急外来へ。
尿の回数が少ない(半日以上おしっこが出ない) 脱水の可能性あり。早めに受診しましょう。
下痢が1週間以上続く 一度小児科で相談してください。

日本の主な医療機関の種類と特徴

医療機関名 特徴・利用シーン
かかりつけ小児科 普段から通っているクリニック。軽症~中等症の場合や継続的な相談に最適です。
夜間・休日診療所 平日夜間や休日に急な体調不良時に利用。自治体や地域によって設置されています。
救急外来(ER) 重症の場合や命に関わる緊急時に。血便や意識障害、けいれんなどが見られる場合は迷わず利用しましょう。
#8000(子ども医療電話相談) 判断に迷うとき、専門家に電話で相談できます。全国共通ダイヤルです。

医療機関選びのポイント

  • まずは普段かかっている小児科へ連絡・相談しましょう。
  • 夜間や休日の場合は、近くの夜間・休日診療所を利用すると安心です。
  • #8000番で看護師や医師と電話相談できるので、不安な時は積極的に活用してください。
  • 症状が重い場合(ぐったりしている、高熱、意識障害など)は、ためらわず救急外来へ行きましょう。
まとめ表:症状別 受診先早見表
症状例 おすすめ受診先
軽度の下痢のみ・食欲あり・元気あり かかりつけ小児科(通常の診察時間内)
下痢+発熱や嘔吐・水分摂取困難・ぐったりしている等 小児科または夜間・休日診療所
#8000で事前相談も可
血便・けいれん・意識がおかしい等 重篤な症状 救急外来(ER)直行!
119番も検討を

このように、お子さんの状態や時間帯によって、適切な医療機関を選ぶことが大切です。迷ったときは#8000番や自治体の案内サービスもぜひご活用ください。

4. 下痢が長引く主な原因

ウイルス性の感染症

日本の子どもに多い下痢の原因として、ウイルス性の感染症が挙げられます。特に冬場にはロタウイルスやノロウイルスによる胃腸炎が流行しやすく、保育園や幼稚園で集団発生することもあります。ウイルス性の場合は、発熱や嘔吐を伴うことが多いですが、数日間で自然に回復するケースが一般的です。

細菌性の感染症

食中毒などによる細菌性の下痢も見られます。サルモネラ菌やカンピロバクター、病原性大腸菌などが代表的です。これらは加熱不足の肉や卵、汚染された水などから感染します。細菌性の場合、高熱や血便、強い腹痛を伴うことがありますので注意が必要です。

食物アレルギー・乳糖不耐症

日本では乳児期から幼児期にかけて牛乳や卵、小麦などに対するアレルギーも珍しくありません。また、乳糖不耐症(牛乳などに含まれる乳糖を消化できない体質)も下痢の原因となります。これらは特定の食品を摂取した後に下痢や湿疹などの症状が現れる場合があります。

その他の原因

長期間続く場合にはストレスや自律神経の乱れ、抗生剤など薬剤によるもの、慢性的な腸疾患(炎症性腸疾患や過敏性腸症候群)なども考えられます。

下痢が長引く主な原因と特徴一覧

原因 主な特徴
ウイルス性(ロタ・ノロ等) 発熱・嘔吐を伴いやすい。数日で回復傾向。
細菌性(サルモネラ等) 高熱・血便・腹痛。食事由来が多い。
食物アレルギー 特定食品摂取後に下痢や湿疹。
乳糖不耐症 牛乳摂取後に下痢。
薬剤・ストレス等 服薬歴や生活環境による。

このように、子どもの下痢が長引く場合はさまざまな原因が考えられます。それぞれの特徴を知り、適切な対応を心掛けましょう。

5. 日常生活での予防・再発防止策

家庭でできる感染予防のポイント

子どもの下痢が続く場合、日常生活の中でできる予防対策がとても大切です。特に家庭内では、以下のポイントを意識しましょう。

予防策 具体的な方法
手洗いの徹底 トイレの後や食事前、外遊びの後には必ず石けんで手を洗う習慣をつけましょう。
タオル・食器の共有を避ける 家族でもタオルや食器は個別に使い、共用しないようにします。
トイレやおむつ交換後の消毒 トイレやおむつ替えの後は、アルコール消毒液などでしっかり手指や周囲を消毒しましょう。
こまめな掃除 トイレや洗面所、おもちゃなど子どもがよく触れる場所は定期的に掃除と消毒を行います。

保育園・幼稚園で気をつけたいこと

集団生活では感染症が広まりやすいので、以下の点にも注意しましょう。

  • 子どもが体調不良の場合は無理せず休ませる。
  • 保育士さんへ症状や体調変化を細かく伝える。
  • 園でも手洗いやうがい指導を徹底してもらう。
  • おもちゃなど共同使用する物品は定期的に消毒してもらうようお願いする。

再発を防ぐための生活習慣ポイント

下痢の再発を防ぐためには、日々の生活習慣も見直しましょう。下記表を参考にしてください。

生活習慣 具体的なアドバイス
規則正しい食生活 消化によい和食中心のメニューや旬の野菜、果物を取り入れます。
十分な水分補給 お茶や白湯、経口補水液などでこまめに水分をとりましょう。
睡眠時間の確保 早寝早起きを心がけて、体力回復と免疫力アップにつなげます。
ストレスケア 子どもの気持ちに寄り添い、リラックスできる環境づくりをしましょう。

注意点

もし保育園や幼稚園で流行している感染症がある場合は、園からのお知らせにも注意し、ご家庭でも対策を強化してください。また、日常生活で予防策を徹底することで、下痢だけでなく他の感染症予防にもつながります。