離乳食開始時に控えたいアレルゲンと月齢別の与え方ガイド

離乳食開始時に控えたいアレルゲンと月齢別の与え方ガイド

離乳食開始時に控えたい主なアレルゲン

赤ちゃんの離乳食を始める際には、特に注意が必要なアレルゲンがあります。日本でよく知られている代表的なアレルゲンとして、「卵」「乳製品」「小麦」「そば」「落花生」「えび」「かに」などが挙げられます。これらの食品は、厚生労働省でも特定原材料として表示が義務付けられており、初めて与えるときは慎重に進めることが大切です。
これらのアレルゲンによる一般的な症状には、じんましんや皮膚のかゆみ、湿疹などの皮膚症状、咳や喘鳴などの呼吸器症状、下痢や嘔吐といった消化器症状などがあります。また、まれにアナフィラキシーショックという重篤な反応を引き起こす場合もあるため、離乳食初期には特に注意深く観察する必要があります。
地域や家庭ごとの食習慣にも配慮しつつ、日本のガイドラインに沿って安全に離乳食を進めていきましょう。

2. アレルギー反応の見分け方と初期症状

離乳食を始める際、特に注意したいのがアレルギー反応です。日本の育児現場でも「初めての食材」は慎重に取り入れることが推奨されています。ここでは、初めての食材を与える際に気をつけたいポイントや、アレルギーの初期症状を見逃さないためのコツについて解説します。

初めての食材を与える時のポイント

  • 1日1種類ずつ新しい食材を追加する:複数の新しい食品を同時に与えないことで、万が一アレルギー反応が出た場合に原因を特定しやすくなります。
  • 午前中や早い時間帯に与える:もし症状が出ても、医療機関が開いている時間であれば速やかに受診できます。
  • 少量から始める:最初はごく少量(耳かき1杯程度)から試し、徐々に量を増やしていきましょう。

主なアレルギー初期症状と観察ポイント

症状カテゴリー 具体的な症状例 観察ポイント
皮膚 発疹・赤み・じんましん 顔や体に普段と違う変化がないか確認
消化器系 嘔吐・下痢・腹痛 食後2時間以内の嘔吐や普段と違う便の様子に注意
呼吸器系 咳・ゼーゼー・息苦しさ 呼吸が苦しそうだったり、声がおかしい場合はすぐ受診
その他 元気がなくなる・ぐったりする いつもと違う様子が続く場合は医師へ相談

アレルギー初期症状を見逃さないためのコツ

  • 観察ノートを活用する:新しい食材を与えた日や時間、量、その後のお子さんの様子を記録しておくと安心です。
  • 家族全員で共有する:複数人でお世話している場合は情報共有を徹底しましょう。
  • 異変があればすぐ医療機関へ:迷ったら自己判断せず、小児科など専門医へ相談してください。
まとめ

離乳食開始時は、慎重なステップと丁寧な観察が大切です。日本ならではの「少しずつ・ゆっくり進める」スタイルを守り、お子さんの安全な食事デビューをサポートしましょう。

月齢別:避けたほうがよい食材のリスト

3. 月齢別:避けたほうがよい食材のリスト

生後5~6ヶ月

この時期は赤ちゃんの消化機能が未発達なため、アレルギーを引き起こしやすい食材や、消化に負担がかかるものは控えましょう。
控えるべき食材例:

  • 卵(特に卵白)
  • 牛乳・乳製品(ヨーグルト・チーズなども含む)
  • 小麦
  • そば
  • ピーナッツやナッツ類
  • 魚卵(いくら・たらこ など)
  • はちみつ(乳児ボツリヌス症予防のため)

生後7~8ヶ月

徐々に食べられる食材が増えてきますが、まだアレルギーリスクの高い食材や硬いもの、塩分・糖分が多いものは避けましょう。
控えるべき食材例:

  • 卵(加熱した黄身から少量ずつ始める場合もありますが、白身はまだ控えめに)
  • 牛乳(飲用としては不可。調理用なら少量可の場合もあるので医師に相談を)
  • そば・ピーナッツ・ナッツ類
  • 魚卵
  • はちみつ
  • 貝類・甲殻類(エビ・カニなど)

生後9~11ヶ月

この時期になると、個人差はありますが、少しずつ様々な食材を試せるようになります。ただしアレルギー症状が出やすいものには注意しましょう。
控えるべき食材例:

  • 生卵(十分に加熱した全卵から少量ずつ開始。ただし医師と相談の上)
  • 牛乳(飲用としては1歳以降)
  • そば・ピーナッツ・ナッツ類(1歳以降推奨)
  • 魚卵・貝類・甲殻類(1歳以降推奨)
  • はちみつ(1歳未満不可)

厚生労働省ガイドラインについて

厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」では、アレルギー発症リスクを減らすためにも、初めて与える際は一度に多量ではなく、少量ずつ慎重に進めることや、体調の良い日にスタートすることが推奨されています。また、不安な点がある場合は必ず小児科医や保健師に相談しましょう。

4. アレルゲンの安全な取り入れ方ガイド

新しい食材・アレルゲン導入時の日本独自の工夫

日本では、離乳食開始時にアレルギー反応を避けるため、食材を一つずつ数日間あけて試す「ひとさじずつ法」が一般的です。また、初めてのアレルゲン(卵、小麦、乳製品など)は平日の午前中に与え、万が一症状が出てもすぐ受診できるようにする工夫もされています。
さらに、「家族にアレルギー歴がある場合は小児科医と相談の上で導入する」ことや、「加熱してから与える」「最初はごく少量から始める」といった注意点も重視されています。

家庭・保育園での注意事項

家庭では、以下の表のようなポイントを意識して進めましょう。

ポイント 具体的な対策例
新しい食材の導入 一度に1種類のみ、少量からスタート
観察期間 新しい食材ごとに2~3日観察し続ける
加熱処理 卵や牛乳は必ず十分に加熱して与える
体調管理 赤ちゃんの体調が良い日に新しい食材を導入

保育園では「食物アレルギー対応マニュアル」や「連絡ノート」を活用し、ご家庭との情報共有が徹底されています。事前にアレルゲン登録や除去食依頼書を提出し、誤食を防ぐために個別対応や職員間でのダブルチェックが行われています。

もしもの時の対応策

新しい食材を与えた後は、発疹・咳・嘔吐・下痢などアレルギー症状がないか30分~2時間程度しっかり観察しましょう。異変が見られた際は速やかに医療機関へ連絡してください。
このような日本ならではの工夫と注意事項を守ることで、安全かつ安心して離乳食期を進めることができます。

5. もしもアレルギーが出た場合の対処法

アレルギー症状が見られた場合の初期対応

離乳食を始めた際に、赤ちゃんにじんましんや発疹、嘔吐、下痢、顔の腫れ、呼吸困難などのアレルギー症状が現れた場合は、まず冷静に観察しましょう。軽度な皮膚症状だけの場合は、すぐにその食材の摂取を中止し、水や母乳・ミルクで様子を見ます。呼吸が苦しそうだったり、顔色が悪くなる場合には一刻も早く医療機関へ連絡してください。

日本で推奨されている医療相談方法

日本では、小児科やかかりつけ医への相談が推奨されています。平日昼間であれば、速やかに小児科を受診しましょう。夜間や休日の場合には、「#8000(子ども医療電話相談)」を利用し、専門家のアドバイスを受けることができます。また、119番(救急車)をためらわずに呼ぶべきケースは、全身にじんましんが広がる、高熱や意識障害、呼吸困難など重篤な症状が見られる時です。

受診の目安とポイント

  • 口唇や顔の腫れ・息苦しさ・ゼーゼーとした呼吸など重い症状:すぐに119番へ
  • 皮膚の発疹やじんましんのみ:できるだけ早く小児科受診
  • 繰り返す嘔吐・下痢:脱水予防のため早めに医師へ相談
保護者としてできること

初めて与える食材は必ず平日午前中にし、万一症状が出てもすぐに受診できる体制を整えましょう。また、アレルギー反応が出た際は与えた食材や時間、症状を記録しておくと診断時に役立ちます。赤ちゃんの安全を守るためにも、不安な点があれば無理せず専門家へ相談してください。

6. 日本で利用できるアレルギーに関する相談窓口

離乳食を始める際、アレルゲンの管理や食材選びについて不安や疑問を感じる保護者も多いでしょう。日本には、地域ごとに頼れる支援機関や相談先が充実しています。ここでは、身近で利用できる主な相談窓口をご紹介します。

地域の保健センター

各自治体の保健センターでは、離乳食やアレルギーに関する無料相談が定期的に行われています。保健師や栄養士、小児科医など専門スタッフが在籍しており、月齢に合わせた離乳食の進め方や、特定アレルゲンの除去・導入について具体的なアドバイスを受けられます。また、健康診断の際にも個別相談が可能なので、不安な点は早めに相談しましょう。

小児科・専門医療機関

重度のアレルギーや既往歴がある場合は、小児科や小児アレルギー専門医への受診がおすすめです。日本小児科学会認定の「小児アレルギーエキスパート医」や大きな病院の専門外来で、血液検査や負荷試験などを通じて正確な診断と適切な指導を受けることができます。

かかりつけ医との連携

日々の健康管理や食事指導は、かかりつけ医との連携も大切です。普段から気になる症状や反応があれば、こまめにメモを取り、受診時に伝えることでより適切な対応につながります。

自宅から相談できるオンラインサービス

最近では、自宅から気軽に専門家へ相談できるオンライン窓口も増えています。自治体によっては、LINEや専用フォームで栄養士・保健師への質問ができたり、日本アレルギー学会公式サイトなどで信頼性の高い情報提供が行われています。

主な情報源・支援機関例

  • 日本アレルギー学会(公式ウェブサイト)
  • 厚生労働省「すくすくジャパン」等子育て支援ポータル
  • 各自治体の子育て支援センター
まとめ:迷ったら一人で悩まず相談を

離乳食期は悩みが尽きないものですが、日本にはさまざまな支援機関があります。不安や疑問を感じたら、一人で抱え込まずに身近な窓口を積極的に活用しましょう。専門家と連携しながら、お子さま一人ひとりに合った安全な離乳食づくりを進めてください。