高熱が出た時にやってはいけないケアと正しい対応

高熱が出た時にやってはいけないケアと正しい対応

高熱とは?日本の基準とよくある原因

高熱が出たとき、保護者としてはとても心配になりますよね。まず「高熱」とはどのくらいの体温を指すのでしょうか。日本では、一般的に37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」と呼ぶことが多いです。特に子どもが38℃以上の発熱をした場合、多くの保護者が医療機関の受診を考え始める基準となっています。また、大人でも38℃を超えると体力が消耗しやすいため注意が必要です。

では、なぜ高熱が出るのでしょうか。もっとも多い原因はウイルスや細菌による感染症です。たとえば風邪やインフルエンザ、最近では新型コロナウイルス感染症などが挙げられます。また、小さなお子さんの場合は突発性発疹や中耳炎、扁桃炎なども高熱の原因となります。一方で、大人の場合は疲労やストレス、持病の悪化などによっても発熱することがあります。

日本の家庭では、「子どもの急な高熱にどう対応したらいいか」「大人が仕事中に発熱した場合の対処法」など、日常的によく話題になるテーマです。正しい知識を持つことで、不安な時にも落ち着いて適切なケアができるようになります。このあと、高熱時にやってはいけないケアと正しい対応について詳しくご紹介していきます。

2. 高熱の時にやってはいけないケア

お子さんが高熱を出したとき、心配のあまり色々なケアをしてしまいがちですが、実は日本ではよく見られる「間違ったケア」も少なくありません。ここでは特に注意したい誤った対応について解説します。

氷や冷水で体を急激に冷やすのはNG

高熱の際、「熱を下げよう」と氷枕や冷たいタオル、冷水シャワーなどで体全体を急激に冷やしてしまうケースがよくあります。しかし、これはかえって身体への負担となり、寒気や震えを引き起こし、体温調節機能を混乱させてしまいます。

厚着をさせるのも逆効果

昔から「汗をかかせて熱を下げる」という考え方で、お子さんに厚着をさせたり布団を何枚も重ねたりするご家庭も見受けられます。しかし、これでは体内に熱がこもりやすくなり、さらに熱が上がる原因となることがあります。

よくある誤ったケア一覧
誤ったケア なぜNGなのか
氷や冷水で全身を冷やす 身体が急激に冷えて震えが起きたり、体温調整が乱れるため
厚着・布団の重ね掛け 熱がこもって体温がさらに上昇しやすくなるため
解熱剤の自己判断での多用 症状や年齢によって適切な使い方が異なるため、医師の指示が必要

このような対応は、一見すると良さそうに思えても、お子さんの回復を遅らせたり、症状を悪化させるリスクがあります。正しい知識で落ち着いて対応することが大切です。

正しい体温管理とケアのポイント

3. 正しい体温管理とケアのポイント

お子さんが高熱を出した時、正しい体温管理とケアはとても大切です。日本の家庭でよく行われている適切な対処法をご紹介します。

涼しい服装にする

発熱時は厚着をさせず、通気性が良くて汗を吸いやすい綿素材のパジャマや薄手の衣服を選びましょう。過度に布団をかけると体温がさらに上がってしまうことがあるので、寝具も調整してください。

こまめな水分補給

発熱時は体から多くの水分が失われます。脱水症状を防ぐために、水や麦茶、経口補水液などを少量ずつ何回にも分けて与えましょう。特に子どもは一度に多く飲めないので、無理せずこまめに様子を見ながら補給することが大切です。

室温調整

部屋の温度は20〜22度くらいを目安にし、エアコンや扇風機などで快適な環境を作りましょう。ただし、直接風が当たらないよう配慮してください。また、湿度も40〜60%程度に保つことで呼吸もしやすくなります。

冷却シートや氷枕の使い方

頭や首筋、わきの下などを冷やすと一時的に楽になることがあります。冷却シートや氷枕はタオルで包んで使用し、冷やし過ぎには注意しましょう。

親子で安心できる工夫

お子さんが不安にならないよう、「そばにいるよ」「よく休もうね」など優しく声をかけてあげましょう。家族みんなで協力して、お子さんの体調回復をサポートしてください。

4. いつ受診すべき?受診の目安と注意点

高熱が出た時、お子さまの体調や様子によっては自宅で様子を見るだけではなく、医療機関を受診することが必要です。日本小児科学会や厚生労働省のガイドラインに基づき、受診の目安や相談窓口について詳しくご紹介します。

受診が必要な主な症状

症状 具体例
意識障害 呼びかけに反応しない、ぐったりしている
水分摂取困難 母乳やミルク、水分をほとんど取れない・飲めない
呼吸困難 息苦しそう、ゼーゼー・ヒューヒュー音がする
けいれん 初めてのけいれん、長く続くけいれん(5分以上)
発疹・皮膚症状 紫斑、全身に急に広がる発疹など
嘔吐・下痢の繰り返し 水分が取れず脱水症状が心配される場合

年齢別の受診タイミングの目安

年齢 高熱持続時間の目安
3か月未満 すぐに医療機関へ連絡・受診
3か月~1歳未満 半日以上続く場合は受診を検討
1歳以上 丸1日以上続く場合や他の症状がある場合は受診を検討

夜間や休日の場合は?相談窓口を活用しましょう

夜間や休日で医療機関への受診判断に迷う場合、日本全国共通の「#8000」(子ども医療電話相談)を利用できます。看護師や小児科医が症状を聞いて適切なアドバイスをしてくれます。また、お住まいの自治体にも相談窓口が設けられていることがありますので、事前に確認しておきましょう。

受診時の注意点と準備するもの
  • 母子手帳、保険証、医療証、お薬手帳を持参しましょう。
  • 経過をメモしておくとスムーズです。(発熱開始時間・最高体温・他の症状など)
  • 感染症流行期にはマスク着用や手指消毒も忘れずに。

お子さまの体調変化は早めに気付き、必要に応じて医療機関や相談窓口を上手に活用しましょう。親御さんが落ち着いて対応することがお子さまの安心にもつながります。

5. 家庭での看病時の親子コミュニケーション

お子さまが安心できる声かけの工夫

高熱で体調が悪いとき、お子さまは不安や怖さを感じやすくなります。そんな時こそ、親御さんからの優しい声かけが大切です。「大丈夫だよ」「お母さん(お父さん)がそばにいるからね」など、安心感を与える言葉を意識して伝えましょう。また、お子さまの気持ちに寄り添い、「しんどいね」「つらいね」と共感することで、子ども自身も自分の感情を素直に表現しやすくなります。

家族みんなで協力できるサポート方法

看病はひとりで抱え込まず、家族みんなで協力することが大切です。例えば、兄弟姉妹には「静かに遊ぼうね」とお願いしたり、パートナーとは交代でお世話をしたりしましょう。また、水分補給や体温チェックなど役割分担を決めることで、お子さまも「家族みんなが応援してくれている」という安心感につながります。

親子で乗り越えるためのポイント

  • お子さまの話をよく聞き、無理に元気づけようとせず気持ちを受け止める
  • できるだけ普段通りの笑顔や落ち着いた態度を心がける
  • 回復したら一緒に好きなことをしよう、と前向きな約束をする
まとめ

高熱時は正しいケアとともに、親子の信頼関係や家族全体のサポートが、お子さまの安心と回復への大きな力になります。焦らず、寄り添いながら一緒に乗り越えていきましょう。

6. 日本の市販薬や医療サービスの活用法

高熱が出たとき、家庭で適切な対応をすることは大切ですが、市販薬や医療サービスの活用も重要です。ここでは、日本で一般的に販売されている解熱剤の選び方や、休日・夜間など緊急時の医療サービスについてご紹介します。

日本で市販されている解熱剤の選び方

ドラッグストアや薬局では様々な解熱剤(鎮痛解熱薬)が販売されています。子ども向けには「アセトアミノフェン(商品例:タイレノールA、小児用バファリン)」が安全性が高いとされています。ただし、必ず年齢や体重に合った用量を守りましょう。また、「イブプロフェン」も効果がありますが、胃腸への負担があるため、空腹時は避けるようにしましょう。

注意したいポイント

  • 市販薬を使用する際は、必ずパッケージや添付文書をよく読み、年齢制限や用量を守ってください。
  • 乳幼児の場合、市販薬よりも早めに小児科医に相談することが大切です。
  • 解熱剤はあくまで一時的な症状緩和のためのものなので、高熱が続く場合や他に異常が見られる場合は受診しましょう。

休日・夜間の医療サービスの利用方法

急な発熱で心配になった時、日本には休日や夜間でも相談できる医療サービスがあります。「#8000」(こども医療電話相談)は全国共通の番号で、看護師や小児科医が症状に応じたアドバイスをしてくれます。また、多くの自治体で「夜間救急診療所」や「休日診療所」が設置されているので、お住まいの地域のホームページで場所と受付時間を事前に確認しておくと安心です。

こんな時はすぐ受診を

  • ぐったりして反応が鈍い
  • 水分を全く受け付けない
  • けいれんや呼吸困難がある

こうした場合は、市販薬に頼らず速やかに医療機関へ連絡してください。普段から母子手帳や健康保険証、医療証など必要書類をまとめておくと、緊急時にも慌てず対応できます。

正しい知識と日本ならではのサポート体制を上手に活用し、ご家族みんなで安心して過ごせるよう備えておきましょう。