1. 発熱の基礎知識と体温の測り方
乳幼児が発熱すると、家庭でどのように対応すればよいか心配になることが多いですよね。ここでは、乳幼児の発熱の目安や体温の正しい測り方について解説します。
乳幼児の発熱とは?
一般的に、乳幼児(0~6歳)の平熱は36.5℃~37.5℃程度ですが、個人差があります。日本小児科学会によると、「37.5℃以上」が発熱とされています。ただし、活動や泣いた後など一時的に体温が上がることもありますので、落ち着いた状態で測定することが大切です。
年齢 | 平熱の目安 | 発熱とされる体温 |
---|---|---|
0~1歳 | 36.5~37.5℃ | 37.5℃以上 |
1~6歳 | 36.5~37.5℃ | 37.5℃以上 |
日本の家庭で使われる体温計の種類
日本のご家庭では以下のような体温計がよく使われています。
種類 | 特徴 |
---|---|
電子体温計(脇下) | 一般的。測定時間は30秒~数分。正確に測れる。 |
耳式体温計 | 数秒で測定可能。素早く測りたい時に便利。 |
額式体温計(非接触型) | おでこに当てて数秒で測れる。寝ている時でも使いやすい。 |
正しい体温の測り方とポイント
- 脇下の場合:乾いたタオルなどで汗を拭き、しっかりと脇を閉じて測ります。動かず静かにしていることがポイントです。
- 耳式の場合:センサー部分を正しく耳穴に入れて測ります。耳垢などがある場合は事前に掃除しましょう。
- 額式の場合:おでこの中央に密着させて指定された方法で測ります。髪の毛や汗は事前に拭いてください。
毎回同じ部位・同じ方法で測ろう!
日によって違う場所や方法で測ると比較しづらくなります。同じ条件で測定すると体調変化にも気付きやすくなりますよ。
2. 発熱時の家庭でのケア方法
水分補給の大切さ
乳幼児が発熱した際は、体内の水分が普段よりも多く失われやすくなります。こまめに水や麦茶、イオン飲料などを少量ずつ与えるようにしましょう。母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんは、そのまま授乳を続けて問題ありません。
おすすめの水分 | 注意点 |
---|---|
水・湯冷まし | 無理に大量に飲ませる必要はありません |
麦茶 | カフェインレスなので安心です |
イオン飲料(乳幼児用) | 糖分の摂りすぎに注意しましょう |
母乳・ミルク | 赤ちゃんの場合はこれが基本です |
衣服の調整について
発熱時には汗をかきやすいため、通気性の良い素材のパジャマや下着を選びましょう。寒すぎず暑すぎないよう、一枚ずつ調節してあげることが大切です。また、汗をかいたらこまめに着替えさせてあげてください。
衣服調整のポイント
- 厚着をさせすぎないようにする
- 肌着は吸湿性・通気性の良いものを選ぶ
- 汗をかいたらすぐに着替えさせる
- 寒がっている様子なら軽くタオルケットなどで調整する
室内環境の管理方法
発熱時は室温や湿度にも気を配りましょう。日本では冬場の加湿や、定期的な換気が一般的です。快適な室内環境を保つことで、乳幼児の体への負担を減らすことができます。
項目 | 推奨値・方法 |
---|---|
室温 | 20〜24℃程度に保つ(季節によって調整) |
湿度 | 50〜60%程度が理想的です(加湿器の使用も有効) |
換気 | 1日に数回、短時間でも窓を開けて空気を入れ替える |
加湿器・濡れタオル利用 | 乾燥しやすい時期には効果的です |
その他の日常ケアの工夫例
- 安静に過ごせるよう、お部屋を静かにしてあげる
- 食欲がある場合は消化の良いお粥やうどんなどがおすすめです(無理に食べさせなくても大丈夫)
- おむつ交換や寝具も清潔に保ちましょう
- お子さんが不機嫌な時は優しく声掛けし、安心できるようサポートしてください。
このように、家庭でできる身近なケアによって、乳幼児が少しでも快適に過ごせるよう心がけましょう。
3. 冷却方法と注意点
冷却グッズの種類と使い方
乳幼児が発熱した時、日本の家庭ではさまざまな冷却グッズが利用されています。代表的なものは以下の通りです。
グッズ名 | 使い方 | ポイント |
---|---|---|
冷却シート(ひえピタなど) | おでこや首筋、わきの下に貼る | 直接肌に貼るだけでOK。長時間同じ場所に貼らないようにしましょう。 |
氷枕・アイスノン | タオルで包み、頭の下や足元に置く | 冷たすぎないよう必ずタオルで包みます。低温やけどを防ぐためこまめに位置を変えます。 |
濡れタオル | 額や体を軽く拭く | 水分補給にも役立ちますが、冷やしすぎに注意しましょう。 |
冷やす際の注意事項
- 発熱時は全身を冷やす必要はありません。特に手足が冷たい場合は無理に冷やさず、体幹部(おでこ、首筋、わきの下など)を部分的に冷やすのが基本です。
- 赤ちゃんが寒がっている様子の場合は、冷却を中止しましょう。
- 冷却シートは皮膚トラブルが起きることもあるので、赤みやかぶれが出た場合はすぐにはがしてください。
- 氷枕などは低温やけどにならないよう、必ずタオルで包んで使用し、直接肌に触れないように気をつけましょう。
- 汗をかいた場合は、こまめに着替えさせてあげてください。
- 乳幼児の機嫌や様子をよく観察しながらケアしましょう。
こんな時は医療機関へ相談を!
- 冷却しても高熱が続く場合
- ぐったりしている、水分が取れない、呼吸が苦しそうなど異常が見られる場合
- けいれんを起こした場合
家庭でできるケアと並行して、心配な症状があれば早めに小児科医へ相談することも大切です。
4. 受診のタイミングと相談先
どのような場合に医療機関を受診すべきか
乳幼児が発熱した場合、家庭で様子を見ることができるケースも多いですが、以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
症状 | 受診の目安 |
---|---|
生後3ヶ月未満の発熱(38℃以上) | すぐに受診 |
けいれんを起こした | すぐに受診 |
呼吸が苦しそう・息が速い | すぐに受診 |
水分が取れない・おしっこが出ない | 早めに受診 |
元気がなくぐったりしている | 早めに受診 |
発疹や皮膚の変色がある | 早めに受診 |
高熱が3日以上続く | 受診を検討 |
母親の直感で「いつもと違う」と感じた時 | 相談・受診を検討 |
夜間や休日に相談できる窓口情報
夜間や休日など、すぐに病院に行くべきか迷った場合は、以下の相談窓口を活用しましょう。
窓口名・番号 | 利用時間・内容 |
---|---|
#8000(こども医療電話相談) | 全国共通。夜間・休日に小児科医師や看護師へ電話で相談できます。地域によって受付時間が異なるため、事前に確認しましょう。 |
市町村の救急相談窓口・ホームページ | 多くの自治体で独自の相談窓口があります。「○○市 救急相談」で検索すると案内が出てきます。 |
厚生労働省の「子どもの救急」サイト(オンライン) | 簡単な質問に答えることで、受診の必要性などをアドバイスしてくれるサイトです。 |
#8000利用時のポイント
- 電話をする際は、お子さんの年齢、体温、現れている症状などをメモしておきましょう。
- 緊急性が高い場合は119番(救急車)も検討してください。
まとめ:迷った時は無理せず相談を!
乳幼児は体調の変化が急なことも多いため、不安な時や判断に迷う時は、一人で悩まず専門家へ相談することが大切です。
5. 家庭内での感染予防対策
乳幼児が発熱した場合、家族内での感染拡大を防ぐことがとても大切です。日本では、日常的に手洗いやマスクの着用など、基本的な感染対策が推奨されています。ここでは、家庭で実践できる具体的な方法についてご紹介します。
手洗いの重要性と正しい方法
手洗いはウイルスや細菌の拡散を防ぐための最も効果的な方法です。特にお子さんのお世話をする前後や食事の前後には必ず手を洗いましょう。
タイミング | ポイント |
---|---|
外出から帰宅した時 | 石鹸と流水で30秒以上しっかり洗う |
トイレの後 | 指先や爪の間も丁寧に洗う |
おむつ交換後 | 赤ちゃんのお世話前後は特に注意 |
食事前後 | 家族全員で徹底する |
マスク着用の習慣
咳やくしゃみがある場合、大人だけでなく兄弟姉妹にもマスク着用が勧められています。乳幼児本人が無理なく装着できる年齢(一般的に2歳以上)であれば、短時間でもつけるようにしましょう。ただし、乳幼児には息苦しくならないよう注意が必要です。
マスク着用のポイント
- 家庭内でも症状がある人はマスクをする
- 使い捨てマスクを使用し、使い回さない
- マスクの表面には触れないように注意する
- 外した後はすぐに手を洗う
こまめな換気と消毒
日本では「三密(密閉・密集・密接)」を避けることも大切とされています。部屋の空気を入れ替えるため、1〜2時間ごとに数分間窓を開けて換気しましょう。また、ドアノブやテーブルなどよく触れる場所は定期的に消毒用アルコールなどで拭き取ると安心です。
家庭でできる感染予防まとめ
対策 | 具体例 |
---|---|
手洗い | 石鹸と流水でしっかり洗う |
マスク着用 | 症状がある人は家庭内でも着用 |
換気 | 定期的に窓を開ける |
消毒 | 共用部分やおもちゃなどを拭く |
タオルの共用を避ける | 個別にタオルを使う |
これらの対策を日々意識して実践することで、家族みんなで健康を守ることができます。